劇場版 AIR GUN ―エアガン―



『ガン』『銃』
なんとも格好良い言葉です。響きも良いし、なんか強そう。数々の有名な映画、アニメ、漫画、ゲームにもその単語は現れます。


オタクは基本的に強い武器が好きです。
・・・弱い武器が好きな人もけっこういたりしますが。
「拳銃」とは、最も簡単に一個人の戦闘能力をあげることが出来るアイテムです。
その威力は強力無比。
人差し指をちょいと引けば、あらあら不思議、死体が一個出来上がり。
そのあまりにも極悪で純粋な有様に、一種の美感さえ覚えます。


銃というのは本来なら現実の恐怖ですが、アメリカと違い、それを簡単に入手することができず、日頃ディスプレイ越しにしか見られない日本においては、一種のファンタジーに位置します。
日本人男子は銃に憧れを得るわけですね。


憧れに近づくロールプレイとして、模倣物があります。つまりエアガンと呼ばれる玩具類です。


プラスチック製のちゃちな弾をバネ力でパスンと飛ばす。リアルな外観と撃鉄動作、スライドなどを感じて悦るわけです。
サバイバルゲームなどに興じる人も中にはいます。


そんなエアガンを使った犯罪が最近、急増しています。


私はエアガンが好きです。と言っても好きで終わる程度、一つだけ所持していますが改造なんて手を出す気もありません。
このエアガン、改造しても名称は「改造エアガン」止まりです。
テレビでは全て名前がエアガンで統一されているみたいですが、ガスガンや電動ガンなどが一連の犯罪で使われて無いこともないと思うんですが。


基本的に、市販されているエアガン程度なら銃口を身体に当てて撃って無傷か軽い痣ができます。ガスガンなどになると最悪裂傷になるんではないでしょうか。
それを改造して使っているのだから、車の板金やガラスを撃ち抜くのも当然。人間に撃てば体内に弾丸が入ったり、骨が折れたり。最悪、死ぬこともありますし、過去実際にエアガンで殺人事件が起きているらしいです。


ここまでエアガンについて語ってきましたが、そろそろ犯罪そのものについて。


改造エアガンによる車両への発砲。
発砲です。玩具ですが扱いは発砲。


最近、急増したと言っていますが、エアガンの発砲事件じたいは多分、前々から多かったと思います。それが、警察などに届け出られる数やマスコミの取り上げ方が過剰になっただけで。
ですが、今回の騒動についてはそれだけでは片付けられない点があります。


車内から車への発砲、という初期の事件と似た事例が増えているからです。
単純にマスコミが騒ぎ立てたせいで増えているとも言い切れませんが、それが無いことは無いはずです。


ところで、これがどんなレベルの犯罪なのか。
まず市販のエアガン、改造していないものを手にします。これは犯罪ではありません。
さて、これを人に向けて撃ちました。この時点で撃たれた「被害者が一切、傷を負っていない場合も『傷害罪』になります」
物に向けて撃った場合、これは器物破損になります。
これはエアガンを「発砲」した時点ですべてアウト。サバイバルゲームなんかも本来犯罪なんだそうな。
そして改造エアガン。これは「所持している時点で銃刀法違反」
改造しても違法、それを人に売っても違法、改造されたエアガンを買うのも違法、人や物に向けて撃つのは当然違法。
今回の事件のように、改造エアガンを車に向けて発砲し、中にいる人を狙った場合
銃刀法違反、器物破損、傷害という罪を負い、これは「殺人罪に近い重罪」に相当します。


長くなってまいりましたが続きます。


今回のニュースがワイドショーで流れ、「まさかまたオタク文化バッシングに・・・」という不安を抱きましたが、どうやら流れは違った様子で。
主に今回の事件で取り沙汰されたのは40代の中年で、しかも日頃のストレスが犯行理由らしいです。


よくよく考えてみれば、エアガンとは、冒頭で述べたように『銃』です。
その威力は確かに本物に比べれば劣りますが、あくまでそれは『ガン』です。
改造されればその威力についても、笑って済ませられないレベルになります。


日頃溜め込んだストレスを発散するために銃を撃つわけです。
とんでもない話ですが、これは極論ではなく、この騒動の真の姿でもあります。


矢鴨、矢猫が問題になったときもありました。
今回、得物はエアガン、獲物は車と人です。
ターゲットはとうとう私とあなたになったわけです。
怖くはありませんか?


銀玉鉄砲で遊んでいた頃が懐かしい・・・・・・